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2. 日本とカナダにおける港湾管理の比較
2a日本の港湾システム
北九州、博多、神戸、横浜、東京の港湾視察の滞在期間は短かかったものの、これらの地域がいかに日本の経済社会にとって重要であるかを我々視察団は十分見て取ることができた。日本の運輸省が出したレポート「21世紀への港湾開発政策」は港湾の果たす役割を重要視するとともに、現在の港湾機能が及ぶ範囲と、この機能を区分する方法を明確に説明している。

 

日本には港湾法に基づく港湾が全部で1,101港あり、下記のように区分される。
・外国との貿易促進に特に重要とされる21の特定重要港湾
・国益に重要な役割を果たす112の重要港湾
・968の地方港湾

 

さらにこの管轄下に置かれない2,950の漁港と、このほかに特別指定を受けていない68の港湾がある。

 

重要港湾は日本の南北に分散しているが、特定重要港湾は三大湾(東京湾、伊勢湾、大阪港)と瀬戸内海周辺に集中している。

 

日本では年間約740万隻の船舶が出入港しているが、そのうち102,000隻が大型貨物船であり、コンテナ貨物量1,300万トン以上を含む貨物量約33億トンが運搬されている(1992年)。外貿貨物量数十億トンの内訳は、約19%が輸出、81%が輸入である。

 

神戸港、千葉港、名古屋港など日本最大級の港湾では年間1億3,000万トンから1億7,000万トンの貨物を取り扱い、港湾の規模別でいえば第一級に位置する。東京港は日本随一の国際港湾であるが、トランシップ貨物8,000万トンのうち年間2,500万トンのコンテナ貨物を取り扱う。

 

近年まで東京湾、伊勢湾、大阪港の三大湾内の港湾が大半の貨物を取り扱っていた。最近は経済の分散化が進み、三大湾以外の港でも取扱貨物量が増えてきた。また最近、日本の国際貿易パターンの変化を反映して、コンテナ定期便の航路も既存の北・北ルートに加えて北・南ルートが伸びを見せている。

 

貨物の輸送と分配機能に加え、日本の港湾は他の重要な目的にも用いられている。すなわち自然災害(地震、台風、津波)の際に避難所として中心的な役割を果たすのである。開発可能な土地が極端に不足しており(開発可能とされる国土の20%はすでに開拓済みで

 

 

 

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